2016-01-01から1年間の記事一覧

ボルタンスキー展@庭園美術館

事前に想像していたよりもだいぶ小ぶりな展覧会だったこともあり、いまいちぐっとこなかった。既存の空間、とくに歴史的な価値や良さを有する空間に鑑賞するたぐいのインスタレーションは、何らかのかたちでその全体性に抵触していないと、あまり面白いもの…

無名の場所

それまで立ち入ることを禁じられていた場所が、突然開放されたとき、人々は戸惑いながらも、さてこれをどのように使おうかと、思いを巡らすにちがいない。あらゆるアイデアが構想されるだろう。それまで、空白として人々の頭のなかで考えられていた場所は、…

最後まで

最後までたどり着かなければ分からないということはたしかに存在する。到達点に達して、そこから振り返ってみてようやく、個別の事象の意味や、それらの整合性のある関係が把握できることがある。このとき、到達点に達するまでのあいだには、そのプロセスの…

空間の歴史

私はいま、ある空間の歴史を書いている。空間自体、空間そのものの歴史である。もちろん空間とは曖昧模糊としていて直接触れ得る存在ではない。だから、なんらかの媒介を介することで、ようやく私は空間の歴史を書くことができる立場に立っている。空間とは…