アンドリュー・リーチ『建築史とは何か?』、横手義洋訳、中央公論美術出版、2016年

アンドリュー・リーチ『建築史とは何か?』を読んでいる。いまのところ第四章まで。第四章の「どのように役立つか」が俄然おもしろい。もともと歴史学には実証的に史実だけを積み重ねていこうとする志向と、それを教訓なりとして読者にとって有用なものへと…

読書努力

文章を書くのに苦労した一年だった。どうもリズムを忘れてしまったらしい。てにをはが気になって、末尾や接続詞が気になって、勢いよく文章が書けない。構造的に書くか流れるように書くか、どちらにするのか、選びきれていないようだ。あるいは、文章を読む…

雑さ

文章をもっと雑に書けたら、とよく思う。せせこましくなりがちである。たとえるなら、均整のとれた直方体。そのようなイメージの文章。これはやはりせせこましい。もっと、あちこちに襞があり、トゲや角が出っ張っているような、そういう文章が書けたらと思…

問題設定

問題設定が必要だ。これはもしかしたら多くの人が言い尽くしてきたことなのかもしれないけれども、私もようやく実感としてこのことを理解をした。問題設定をし、そのフレームワークのなかで歴史を再配置すること。おそらく、いま必要であるのはこれである。…

理念的所作

仕事を進めているわきでいくつか討論の舞台にのぼり、あるいはそれを見た。役割というのはやはり大事なものだと思う。翻って自分の役割というものを自覚する必要があるとも思う。それはつまるところ理念的な水準にあるのだろう、結局。ないものねだりやあち…

椅子

昨年はありがたく多忙であったものの、仕事に迷いがあって苦しい一年だったように思う。理由ははっきりしていて、自分の使えるリソースの大半が割かれる対象がすでにあり、そのほかには本腰を入れるようなことができなかったからだ。自分の身体的欠陥を考え…

ボルタンスキー展@庭園美術館

事前に想像していたよりもだいぶ小ぶりな展覧会だったこともあり、いまいちぐっとこなかった。既存の空間、とくに歴史的な価値や良さを有する空間に鑑賞するたぐいのインスタレーションは、何らかのかたちでその全体性に抵触していないと、あまり面白いもの…

無名の場所

それまで立ち入ることを禁じられていた場所が、突然開放されたとき、人々は戸惑いながらも、さてこれをどのように使おうかと、思いを巡らすにちがいない。あらゆるアイデアが構想されるだろう。それまで、空白として人々の頭のなかで考えられていた場所は、…

最後まで

最後までたどり着かなければ分からないということはたしかに存在する。到達点に達して、そこから振り返ってみてようやく、個別の事象の意味や、それらの整合性のある関係が把握できることがある。このとき、到達点に達するまでのあいだには、そのプロセスの…

空間の歴史

私はいま、ある空間の歴史を書いている。空間自体、空間そのものの歴史である。もちろん空間とは曖昧模糊としていて直接触れ得る存在ではない。だから、なんらかの媒介を介することで、ようやく私は空間の歴史を書くことができる立場に立っている。空間とは…